そもそも初めて瓦が登場したのは今から
およそ2800年前の中国とされています。
日本にはおよそ1420年前の西暦588年、
百済から仏教と共に伝来され、飛鳥寺で
初めて使用されたとされています。
仕様は平瓦を並べて、そのジョイント上に
丸瓦を並べた現在でも使われている本瓦
葺きとほぼ同じであったそうです。
ちなみに飛鳥時代では、瓦葺きの許された建物は寺院のみでした。
瓦はなし
瓦とは本来、粘土瓦のことを言います。
たとえば、ドイツでは粘土製のものをほかのものと区別してZiegel(ツィーゲル=瓦、煉瓦)と呼ばれています。日本でも、単に瓦という場合には本瓦のものや桟瓦のもの等の一定の形をした粘土瓦のことであるという認識が一般的です。
瓦を屋根に施工することを『瓦を葺く』と言って、その施工に携わる業者さんを『瓦葺き職人』などと呼ぶことがある。
さて、今現在の一般の屋根に上がっている瓦、いったい誰が考えたのでしょうか?
それは、近江大津の西村半兵衛(1642-87)と言う江戸時代の瓦職人です。
半兵衛は、それまで主流だった本葺き瓦(この時代では、民家に瓦はほとんど葺かれていませんでした)を簡素化出来ないものかと考えました。
試行錯誤の末、現在の桟瓦の形を考案し、延宝2年(1674)三井寺万徳院(滋賀県大津市)の玄関に葺かれたのがはじまりなのだそうです。
屋根の瓦
ここでは原材料や製造工程の違いで分類し、紹介しています。
いぶし瓦
日本建築の屋根に多く見られるのが、このいぶし瓦です。
渋い銀色(ねずみ色)の光沢と清楚な美しさは、日本の風土に根ざした深い味わいと伝統の確かさが息づいています。
洋風指向が高まる近年でも依然として根強い人気を保ち、その独特の色調から「銀色瓦」「黒瓦」などとも呼ばれます。
“いぶし”の材料に以前は松材や松葉が使われていましたが現在ではブタン、プロパンなどLPGの生ガスや、水で希釈した灯油などが使われています。
また、この瓦で葺かれた屋根は、重厚感のある落ち着いた仕上がりになります。
ちなみに英訳は smoked tiles (スモーク タイル)です。瓦の燻製といったところでしょうか。
J形(和型)
社寺、仏閣、一般住宅など幅広く使われています.。
また、軒先瓦や袖瓦、棟瓦、鬼瓦などの役瓦の種類も豊富でバリエーションにとんだ屋根を造ることが出来ます。
例えば、軒先の瓦を変えることで重厚感を出したり、逆に軽く見せたりすることが出来ます。 J形(和型) 瓦 屋根 葺き替え
また、大きい屋根には大きい瓦、小さい屋根には小さい瓦と使い分けることもできます。
近年では、1坪当たりに53枚の瓦を使う<53枚判>のが主流となっています。
本葺き瓦
社寺、仏閣によく使われていて、平瓦と丸瓦を組み合わせて葺きます。
葺き上がった屋根は、日本の美を象徴するかのようなとても素晴らしい仕上がりになります。
しかし、J型(和型)の約2.5~3倍の重量になりますので民家には不向きです。
釉薬瓦(陶器瓦・色瓦)
釉薬瓦とは、別名・陶器瓦や色瓦と呼ばれています。
製造工程はいぶし瓦とほとんど変わらないのですが、粘土を成形、乾燥し白地(しらじ)の段階で釉薬という上薬を塗り、焼成される粘土瓦の一種です。
焼くと、釉薬が溶け瓦の表面にガラス質が形成されるため、水が浸透せず長い年月を経ても美しい状態を保てるのが特徴です。
また、釉薬の成分を変えることで、様々な色彩の瓦を作ることができます。
製造工程での、いぶし瓦との大きな違いは焼く前に処理するか、焼いてから処理するかの違いですね。ちなみに、瓦を割ると中は赤い植木ばちの色をしています。
J形
いぶしのJ形同様よく葺かれています。
色は様々ありますが、最近では落ち着いた飽きのこない色が好まれています。
黄金色 | 青緑色 |
シルバー色 | 銀黒色 |
S形
洋風の住宅や、店舗などに
よく見かけますね。
S形 瓦
F形(平板瓦)
色や形が豊富です。すっきりした葺きあがりは洋風建築によく合いますね。
役瓦の種類が少なく安価に仕上げることが出来ます。F形(平板瓦) 瓦 屋根 葺き替え
瓦には“ねじれ”というものがあります。
“ねじれ”を組み合わせて葺くのが葺き職人なのですが、近年の製造技術は素晴らしく、
製造メーカーの努力が伺えます。
世界に誇れる技術です。
無釉薬瓦(粘土瓦・焼成瓦)
文字通り釉薬を使わずに焼成します。細かく分類すると、釉薬を使わずに焼く素焼瓦や、生地に粘土以外の物質を混ぜて練り込み変化をつけ焼く練込瓦、窯の中で自然な変化をさせる窯変瓦などがあります。
また、塩を使って焼く、赤褐色の塩焼瓦もあります
瓦の定義=粘土を原料に焼成して作られるもの。
しかし、昭和に入りセメントを原料とする屋根材や、また金属を加工した屋根材も作られるようになり現在では屋根材の総称として一般に “瓦” と、よばれています。
セメント瓦
セメントと砂を原料とするモルタルを型枠に入れ、プレス、成型、乾燥後に塗料で表面処理され製造されます。
比較的安価で、多彩な形があるのが特徴です。
セメント瓦
スレート
セメントと石綿を主原料に生産されてきましたが2004年10月1日に石綿(アスベスト)を含む製品の製造・使用が禁止されましたので現在では石綿以外の繊維質原料が使われています。
また、製造工程は先の原料を板状に加圧成形、乾燥したあと、化粧加工し製造されます。
鬼瓦
鬼瓦は和式建築物の棟(大棟、隅棟、降り棟など)の端などに設置される板状の瓦の総称です。
魔よけと装飾を目的とした、役瓦の一つになります。
鬼の顔を模したものが中心ですが、鬼が造られていないものもあり、シンプルな造形の「州浜」と呼ばれるものや蓮の華をあらわしたものあります。
そもそものルーツは中国に見られ、日本では唐文化を積極的に取り入れだした奈良時代に始まり、急速に全国に普及したとされています。
鬼面鬼瓦(きめんおにかわら)
寺院は勿論、一般家屋など比較的古い和式建築に多く見られましたが、平成期以降に建てられた建築物にはあまり見られることが少なくなりました。
また鬼の顔だけでなく、家紋や福の神がついている鬼瓦も多く見られます。
鬼瓦には国宝に指定されている建造物の屋根に鎮座しているものが多々あります。
国宝に指定されている建造物は全国に131ヶ所あり、そのなかで鬼瓦が使われている建造物は50ヶ所以上にも及びます。
鬼瓦は時代や屋根の形、作った鬼師の違いで様々な形をしています。
また見る角度や時間帯、季節によって受ける印象も大きく異なります。
神社仏閣のお参りの節には、是非鬼瓦に目を向けてみて下さい。
新しい発見があるかもしれませんよ。
八幡福輪(一般の屋根に上がっています)
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